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【指導の極意】「なぜ?」ではなく「どうしたら?」──人を伸ばす問いかけの力とは

はじめに:その「なぜ?」、人を追い込んでいませんか?
部下の成長を支えたい、ミスを減らしたい、良いチームを作りたい。
そんな思いとは裏腹に、「なぜできないの?」「なぜ守れないの?」という問いかけで相手を追い詰めてしまうことがあります。
実はこの“問い方”が、人のやる気や関係性に大きく影響を及ぼします。
原因追及型:「なぜ?×5回」が有効なケース
「なぜ?」を5回繰り返す思考法は、製造業やシステムトラブルなどの機械的・構造的な問題に対して有効です。
これは「トヨタ生産方式(TPS)」でも知られており、根本原因(真因)を特定するための手法です。
【例】製造不良の「なぜ?×5回」
- なぜ製品が不良だったのか? → 温度が高すぎた
- なぜ温度が高かったのか? → センサー設定ミス
- なぜ設定ミスが起きたのか? → 手順書が分かりにくかった
- なぜ分かりにくかったのか? → 手順書が古かった
- なぜ更新されていなかったのか? → 管理責任が不明確だった
ここでは「人の責任」ではなく、「仕組みの改善」が見えてきます。
要注意:「なぜ?」は人を追い込む危険がある
この「なぜ?」を人に対して使うと危険です。
例えば部下や後輩に対して次のように問いかけた場合:
- なぜ遅れたの?
- なぜ準備してないの?
- なぜやる気が見えないの?
相手は責められていると感じ、防衛的になり、最終的にはやる気を失ってしまいます。
これは人格否定につながりやすく、信頼関係を損なう原因にもなります。
目的志向型:「どうしたら?×5回」で前向きな対話を
人為的ミスや成長を促す場面では、「なぜ?」ではなく「どうしたら?」を繰り返すのが効果的です。
この問いは未来に目を向けさせ、自発的な改善意欲を引き出します。
【例】後輩への問いかけ
- どうしたら遅れずに来られる?
- どうしたら準備が整う?
- どうしたら信頼される行動ができる?
- どうしたら皆とうまくやれる?
- どうしたら自分も楽しく参加できる?
責めるのではなく、「一緒に未来を考える」姿勢が信頼とやる気を育てます。
まとめ:問い方一つで人は変わる
- 機械・仕組みの問題 → 「なぜ?×5回」で原因追及
- 人の行動や感情 → 「どうしたら?×5回」で未来志向
子育て・職場・地域活動など、あらゆる人間関係において
「どう問いかけるか」が、その人の成長と関係性を大きく左右します。
あなたは今日、誰かに「なぜ?」と問いかけていませんでしたか?
明日からは「どうしたら?」を意識して、より良い関係と成果を築いてみませんか?