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超砥粒ホイール(CBN・ダイヤ)のドレッシング方法|GC砥石の使い分けと実務手順
超砥粒ホイール(CBNホイール・ダイヤモンドホイール)は高硬度材料の高精度研削に不可欠ですが、性能維持のためには定期的なドレッシング(目立て・目直し)が必要です。本記事では、現場で実際に使える手順・条件・注意点を、ダイヤモンドローラーによるトゥルーイングと、GC砥石を用いたコンディショニング(切れ味回復)の使い分けを中心にわかりやすくまとめます。
目次
ドレッシングとトゥルーイングの違い
トゥルーイング(Trueing):ホイールの外形・角度・同芯度など形状を正確に整える作業。
ドレッシング(Dressing)/ コンディショニング:形状を保持したまま砥粒の切れ刃を露出させ、切れ味を回復する作業。
主要ドレッサーと用途
ドレッサー | 役割 | 現場での使い分け |
---|---|---|
ダイヤモンドローラードレッサー | 高精度のトゥルーイング(形状出し) | 量産・高精度工程の必須工具 |
単石ダイヤ / ブロックダイヤ | 小ロットの形状修正・簡易トゥルーイング | 試作や急場の修正に有効 |
GC砥石(炭化ケイ素) | コンディショニング(切れ味回復) | 結合剤を削り砥粒を露出。仕上げ前の目直しに◎ |
アルミナ砥石スティック等 | 細かい目直し・表面調整 | 微細調整、仕上げ工程で使用 |
現場での具体的手順
量産ライン向け(推奨フロー)
- 点検:ホイールの振れ・割れ・目詰まりを確認。亀裂があれば交換。
- トゥルーイング:ダイヤモンドローラーで外径・角度を成形(必要に応じて固定治具使用)。
- コンディショニング:GC砥石で軽く表面をなで、切れ刃を露出(後述の条件参照)。
- 試削検査:仕上がり面粗さ・寸法を確認し、必要なら微調整。
- 記録:ドレス条件・切り込み量・工具IDをログ化して工程管理。
試作・小ロット向け(簡易)
- 単石ダイヤで形状の大まかな整形。
- GC砥石で目直し(軽く数回往復)。
- 加工テスト → 仕上げが出ない場合は再ドレス。
ドレス条件の目安(現場参考値)
※設備・砥石種類・被削材により最適値は変わります。まずは下の低め設定から試し、段階的に調整してください。
項目 | 推奨レンジ | 備考 |
---|---|---|
切り込み量(GCでのコンディショニング) | 0.001 ~ 0.02 mm | 深く入れすぎるとGCが欠ける/ホイール損傷の恐れ |
ドレス送り速度 | 0.1 ~ 0.3 mm/rev | 仕上げ重視は遅め、切れ味重視はやや速め |
接触タイミング | 短時間の往復(数回) | 長時間押し当てない |
冷却液 | 必須(流量確保) | 熱割れ・結合剤変性防止のため |
ドレッサー回転 | ホイール側を速く、ドレッサーは遅め | ホイールのはく離を抑えるため |
よくあるトラブルと対処法
目詰まり(ホイールが滑る)
対処:GC砥石で軽くコンディショニングして結合剤を削る。研削液の種類・濃度を見直す。
表面に焼けが出る
対処:ドレス条件(切り込み量・時間)を浅くする。冷却液を増やす。ドレス前に動作確認を行う。
GC砥石が欠ける
対処:切り込みを浅く、接触時間を短くする。GC砥石の取り付け剛性を確保する。
FAQ(よくある質問)
- Q1: GC砥石だけでホイールの形状は出せますか?
- A: 基本的に不可。GCはコンディショニング向けで、精密な形状出しはダイヤモンドローラーや単石ダイヤが必要です。
- Q2: どの頻度でドレッシングすべきですか?
- A: 加工材・切削量・仕上げ要求によって異なります。一般目安は「加工ワーク10〜100個ごと/あるいは仕上りが崩れたら即ドレス」。ログを取って最適頻度を見つけましょう。
- Q3: 研削液はどれを選べば良いですか?
- A: 被削材に適した切削油または水溶性切削液を使用。熱管理と洗浄性(目詰まり対策)を優先してください。
まとめ・導入チェックリスト
- 形状出しはダイヤモンドローラー、切れ味回復はGC砥石で使い分ける。
- ドレス条件は「浅く短く」から始めて微調整する(切り込み0.001–0.02mmが目安)。
- ドレス履歴・工具ID・条件は必ず記録し、再現性を担保する。
- 安全管理(防護・切り粉処理)と冷却液の維持を徹底する。
現場向け提案:貴社のホイール形状(CBNかダイヤか)、使用しているドレッサー機種、現在の不具合(目詰まり・焼け等)を教えていただければ、より具体的なドレス条件と「作業手順書(PDF)」を作成できます。
(例:CBNφ200×30、ダイヤモンドローラー:電着φ50、現状の不具合:仕上り面の刃痕)
(例:CBNφ200×30、ダイヤモンドローラー:電着φ50、現状の不具合:仕上り面の刃痕)