拗ねる部下が「異動したい」と言い出したときの正しい対応
職場で部下から次のような相談を受けた経験はありませんか?
「注意や指摘をされるのがつらい。
内容は正しいし、言い方も高圧的ではない。
ただ言われる回数が多くて、自分には向いていないと思う。
だから異動したい。」
一見もっともらしく聞こえますが、このケースは対応を誤ると、本人にも組織にも大きなマイナスになります。
本記事では、拗ねる部下の心理と、上司・管理職が取るべき現実的な対応を解説します。
注意や指摘に問題がない場合、原因はどこにあるのか
このタイプの部下には、次のような共通点があります。
- 注意・指摘の内容は妥当
- 言い方も高圧的ではない
- 本人も理屈としては理解・納得している
つまり問題は、指摘そのものではなく、受け止め方にあります。
多くの場合、これは能力不足ではなく、
自己肯定感の低下や失敗への耐性の弱さが原因です。
「向いていないから異動したい」は本当に正しい判断か
注意される回数が多い理由はシンプルです。
まだ業務の基準に到達していない
成長途中で指摘が増えるのは、むしろ自然なことです。
にもかかわらず「向いていない」と結論づけてしまうと、次の問題が起きやすくなります。
- 課題と向き合わなくなる
- 環境のせいにする癖がつく
- 異動先でも同じ問題を繰り返す
その結果、異動しても根本解決にならないケースが非常に多いのです。
感情を無視すると、部下は静かに潰れていく
一方で、
- 「仕事なんだから当然だ」
- 「甘えるな」
と感情を切り捨てるのも危険です。
このタイプの部下は、反抗せず、理屈も理解しています。
しかしその分、内側で自信を失い、静かに消耗していく傾向があります。
放置すると、
- モチベーション低下
- 責任回避
- 無気力・指示待ち
へと進行していきます。
管理職が取るべき現実的な対応策
異動をすぐ認めるのでも、突き放すのでもなく、
「期限付きの改善チャレンジ」を提案するのが効果的です。
具体的な伝え方の例
- 異動したい気持ちは理解している
- 指摘内容は妥当で、改善できる余地もある
- 〇ヶ月だけ改善テーマを絞って取り組もう
- それでも難しければ、異動を一緒に考える
これにより、
- 部下の感情を否定しない
- 逃げ道だけを先に与えない
- 上司としての説明責任も果たせる
というバランスが取れます。
異動は「逃げ」か「戦略」か
異動そのものが悪いわけではありません。
問題なのは、
課題と向き合わないままの異動
一度「注意から逃げる成功体験」を作ってしまうと、
今後も壁にぶつかるたびに異動を求めるようになります。
まとめ|拗ねる部下への対応で大切なこと
- 注意・指摘が妥当なら、異動理由としては弱い
- ただし感情面は軽視しない
- 期限と改善テーマを区切った対応が有効
- 「向いていない」の判断は、その後でも遅くない
部下を守ることと、甘やかすことは違います。
上司の役割は、逃げ道を塞ぐことではなく、
成長から逃げる道を作らないこと