全員を引き上げようとして、空回りしていた話〜「成長義務」と「昇格意欲」は別物だった〜
はじめに|「成長=上を目指す」と信じていた
自分はこれまで、
「会社員は毎年昇給するのだから、成長する義務がある」
「上を目指さない=ダメ」
そう教わってきた。
実際、自分自身は
- 会社の評価制度に早く気づき
- 通常業務をこなしながら
- プライベートの時間も投資し
- 改善活動、資格取得、設備立ち上げに取り組んできた
投資した時間に対するリターンは大きかった。
「これはゲーム構造だ」と気づけたこと自体がラッキーで、
正直に言えば「周りを出し抜ける」と思っていた。
だからこそ、
部下にもこの仕組みを伝え、全員を引き上げたい
そう考えて指導してきた。
でも、現実は違った。
全員に同じように教えても、誰も動かなかった
評価制度の仕組みを説明し、
「こう動けば評価につながる」
「やるだけ得だ」
そう何度も伝えた。
それでも部下は、
- 通常業務はこなす
- それ以上はやらない
- 昇格したいとも言わない
リアクションの弱い部下には、
「分からなかったのかな?」
「伝え方が悪かったのかな?」
と、何度もフォローしてしまった。
でも今なら分かる。
問題は説明不足ではなかった。
間違っていたのは「全員が同じ前提だ」という思い込み
自分は無意識に、こう思っていた。
仕組みが分かれば、行動するはず
成長=上を目指すこと
昇給するなら努力するのが当たり前
でも、部下は違った。
多くの人にとっては、
- 現状を大きく変えないこと
- 失点しないこと
- 余計な責任を増やさないこと
これが合理的な選択だった。
理解できないのではなく、選んでいなかった。
「成長する義務」と「上を目指す義務」は違う
成長する義務はある
これは今でも変わらない。
- 今の等級で求められる役割を果たす
- 精度を上げる
- 再現性を高める
- ミスを減らす
これは全員に必要な成長。
上を目指すかどうかは選択
- 人をまとめる
- 判断範囲を広げる
- 責任を背負う
これは「成長の一方向」であって、義務ではなかった。
自分は「成長=昇格」で生きてきたけれど、
それを全員に当てはめるのは無理があった。
全員を引き上げようとすると、逆に育たない
善意でやっていた「何度もフォロー」は、結果的にこうなっていた。
- 動かなくても声をかけてもらえる
- 自分で決めなくてもいい
- 責任は上が持ってくれる
これは育成ではなく、依存を作っていた。
これからの育成スタンス
① 全員にやるのは「事実の共有」まで
- 等級制度の仕組み
- 今の等級で求められる最低ライン
- 昇格は義務ではないこと
② 班長視点は「やりたい人」にだけ教える
- 少しでも行動した人
- 質問してきた人
- 興味を示した人
③ 動かない人は「今の役割を安定してやってもらう」
上を目指さない=ダメ、ではない。
成長を止める=ダメだ。
昇格したい人がいない職場について
昇格したい人がいない職場は珍しくない。
- 責任の割に報酬差が小さく見える
- 上の立場がしんどそうに見える
- 失敗したときのリスクが大きく見える
この状況で無理に火をつけると、組織は壊れる。
おわりに|引き上げるのではなく、現れる環境を作る
全員を引き上げることが正しい管理だと思っていた。
でも今は、
引き上がる人が自然に現れる環境を作ること
こそが役割だと考えている。
冷たくなったわけではない。
むしろ、部下を一人の大人として尊重するようになった。
同じように悩んでいる人の、
少しでも参考になれば幸いです。