「なんで渡してないの！」は理由を聞いていない——職場で叱られたときにやるべき反応と改善策
客先に渡す物を「指示どおり」渡して一安心——のはずが、上司から「なんで渡してないの！」と怒られた。説明すると、さらに怒りが強くなった。理由を説明しても解決しないそのワケと、現場で使える具体的な対処法を解説します。
問題の状況（事例）
ある日、○○社への納品で、部下は「指示された品だけ」を先方に渡しました。しかし隣には同じ宛先の別の品があり、それを一緒に渡さなかったために二度手間になりました。上司が怒声で「なんで渡してないの！」と言った瞬間、部下は事情説明を始め、結果的にさらに叱られてしまいました。
なぜ「理由」を説明すると逆効果になるのか
1. 「なんで」は表面上は問いだが、実際は“感情”と“期待”の表出
言葉の文法的な意味は「理由を尋ねる」ですが、職場での「なんで〜してないの！」には
- 「その場で状況を見て自分で判断すべきだった」
- 「相手（客先）の立場や効率を考える配慮が足りない」
といった“判断力・配慮”への不満が含まれています。したがって、ここで理由を並べ立てると「言い訳」と受け取られやすいのです。
2. 感情的な瞬間は“説明”より“受け止め”が先
叱責の瞬間、相手は怒りや失望を感じています。論理的な説明を先に始めると「自分の気持ちが軽視された」と感じ、さらに感情が高ぶる可能性があります。
部下：「指示されたものだけ渡すように言われたので…」→ 上司：「言い訳するな！そういう問題じゃない！」
即やるべき“その場”での3ステップ
現場で叱られた瞬間に使える、シンプルで効果的な対応です。
- 受け止める：「すみません。気づきませんでした。」
- 改善意識を示す：「次から確認して一緒に渡します。」
- 冷静になったあとで事情を補足する：「ただ、今回こういう事情がありました。今後は〜します。」
例文（現場ですぐ使える）
即答：「申し訳ありません、気づきませんでした。次からは必ず確認して一緒に渡すようにします。」
落ち着いてから：「今回、指示があの1点だけだったため見落としていました。今後は一覧で確認するルールを自分で作ります。」
上司が本当に見ているポイント（評価の基準）
- 指示外の“気づき”ができるか（状況判断力）
- 相手（客先・社内）の立場に立てるか（配慮）
- 叱責を受けたときの態度（謝罪できるか・成長意欲があるか）
再発防止のための具体的な行動プラン（現場で使える）
- 受け渡しチェックリストを作る（納品前にその場で確認）
- 納品物を宛名順にまとめる（同一宛先は一緒に渡すルール）
- 「指示＋現場確認」習慣：指示を受けたら、周囲の関連物も確認する癖をつける
- 振り返りメモ：ミスが発生したら簡単に原因と対策を1行でメモして共有
上司に説明するときのタイミングと言葉選び
感情が落ち着いたあとで論点を整理して説明します。ポイントは「言い訳に聞こえない構成」。
構成例：
- 謝罪（短く）
- 事実（簡潔に）
- 原因（改善につながるものだけ）
- 再発防止策（実行可能な一歩）
よくある質問（FAQ）
- Q. 上司が理不尽に怒る場合も同じ対応でいいですか？
- A. 基本はまず受け止めることが重要です。理不尽さが続く場合は、落ち着いた場で具体例を挙げて確認し、場合によっては人事や先輩に相談してください。
- Q. その場で謝るのが苦手です。どうしたらいい？
- A. フレーズをいくつか用意しておくと楽になります。例：「申し訳ありません、至らずご迷惑をおかけしました。次はこうします。」を覚えておくと安心です。
- Q. 言い訳だと思われないためのコツは？
- A. 「改善策」を必ずセットにすること。事情説明だけで終えると「言い訳」に見えますが、「次はこうする」と付け加えると建設的に受け取られます。
まとめ
「なんで渡してないの！」と怒られたとき、上司は理由を聞きたいのではなく、状況判断や配慮の不足を糾していることが多いです。まず感情を受け止め、改善意識を見せる。落ち着いてから事情を説明し、再発防止の具体策を示す——これが最短で信頼を回復する方法です。
※ 本記事は現場でのコミュニケーション改善を目的とした一般的なアドバイスです。組織のルールや状況に応じて調整してください。
