将来の収入を予測して、資産形成の道筋を立てよう
収入の見通しを持つことは、安心して資産形成を進めるための基本です。
今の自分の資産を正しく把握し、会社や業界の状況を踏まえて将来の収入を予測すれば、「いま何を貯めるべきか」「どれだけ投資に回せるか」「どの程度のリスクを許容できるか」が明確になります。
なぜ将来の収入を予測するのか
収入のベースが不安定だと、どれだけ節約しても資産形成が計画通り進みません。逆に収入の見通しが立つと、住宅ローンや長期投資の意思決定がしやすくなります。将来収入の予測は、人生設計と資産計画の土台です。
まずは「現在の資産」を正しく把握する
以下を一覧化してみましょう(できればスプレッドシートに整理):
- 預貯金(普通・定期)
- 投資(株式、投資信託、iDeCo、NISA など)
- 保険(解約返戻金・保障内容)
- 年金・退職金の見込み
- 不動産・車・その他換金可能な資産
- 負債(住宅ローン・カードローン等)
ポイント:資産を「流動資産」「長期保有」「負債」に分けて可視化すると、貯蓄・投資の余裕が把握しやすくなります。
収入予測の目安となる要素
将来の給与を正確に当てることは難しいですが、次の指標を使うと「おおよその範囲」をつかめます。
1. 会社内のロールモデル(上司の給与)
同じ組織で数年先を行く上司の年収や昇給の履歴は、ロールモデルになります。役職賞与や勤続年数を観察しましょう。
2. 業界の水準と成長性
業界が成長傾向にあるか、賃金が伸びているかによって昇給・ボーナスの期待値が変わります。業界の景気指標や求人の賃金水準をチェックしましょう。
3. 職種別の給与レンジ・スキルの重要性
同じ会社でも職種により給与の伸びは異なります。スキルアップや資格で昇給が見込めるかを評価してください。
シナリオ別に考える(例)
複数シナリオで検討するとリスクに強い計画が立てられます。例:
- 楽観シナリオ:今後5年で収入+10%/昇進1回/投資リターン年率3〜5%
- 標準シナリオ:収入横ばい〜微増(年+1〜3%)/副業・スキルアップで徐々に底上げ
- 悲観シナリオ:収入変化なし〜減少/ボーナス減・業績悪化の可能性あり
各シナリオ毎に「毎月の貯蓄額」「投資に回せる額」「緊急予備(生活防衛資金)」を算出してみましょう。
「どの程度のリスクを許容できるか」を判断する
収入の安定性が高ければリスク資産(株式等)に多めに振れる可能性があり、安定性が低ければ安全資産の比率を上げるべきです。判断材料:
- 生活防衛資金(生活費の3〜12ヶ月分)
- 家族構成・扶養の有無
- 負債の有無(住宅ローンなど)
- リターン期待と精神的耐性
実務的なステップ(今日からできること)
- 資産・負債の一覧を作る(スプレッドシート推奨)
- 過去3年の給与明細・ボーナス推移をチェック
- 上司や同僚のキャリアパスを参考に将来のレンジを推定
- 複数シナリオを作り、それぞれの月次貯蓄目標を決める
- 緊急予備資金を確保してから投資を始める
まとめ:計画は「見える化」と「シナリオ」で強くなる
未来の収入予測は資産形成の出発点です。現在の資産を正しく把握し、会社・業界・職種の観点から複数のシナリオを作ることで、無理のない貯蓄・投資計画が立てられます。重要なのは「自分が納得できる数字」を基に行動することです。
よくある質問(FAQ)
- Q. 将来の収入はどれくらい正確に予測できますか?
- A. 完全な精度は期待できません。大切なのは複数シナリオで範囲を把握し、最悪ケースにも対応できる計画を作ることです。
- Q. 収入が不安定でも投資はできますか?
- A. 可能ですが、まず生活防衛資金を確保し、リスクの低い投資(積立投資・分散)から始めるのが安全です。
- Q. 会社内の上司の給与はどうやって参考にすればよいですか?
- A. 公開情報や人事の傾向、上司の役職や勤続年数とボーナスの様子を観察して、現実的なレンジを推定します。