昔ながらの教育方法は間違いだった【『学力』の経済学】要約まとめ
『学力の経済学』ってどんな本なんだろ?
要約まとめが知りたいな。
こんな疑問に答えます。
中室牧子さんの著書『学力の経済学』の要約まとめを紹介します。
中室牧子さんは、
慶應義塾大学の教授で教育経済学を専門としています。
教育を語る上でよく言われることの中に
・子供にご褒美をあげて何かをさせるのはよくない
・褒めて育てる教育をしたほうがいい
・ゲームをすると暴力的になる
といったことがあります。
これは昔から
教育評論家などがよく言っていることです。
著者はこれらに対して『否定的』な意見を持っています。
それは何故か?
その根拠について解説していきます。
データは個人の経験に勝る!【『学力』の経済学】要約まとめ
『教育の本』で人気があるのは、
子供を全員東大へ入れた
『カリスマお母さん』
などの本です。
また教育評論家や子育て専門家の人たちがよく言うのは
その人たちが先生だった時など
自身の経験に基づいたものです。
また、
自分がこのように育てられたから
子供にも同じようにさせよう。
とする親も多くいます。
しかし注意してください。
これらは、
たった1人の個人的な体験データに過ぎません。
この本にはこう書かれています。
どこかの誰かが子育てに『成功』したからといって、
同じことをしたら自分の子供も
同じように『成功』するという保証はどこにもない。
子供の成功には多くの要因が影響しています。
教育経済学者の著者は
もっと大量のデータで客観的に得られたもので判断すべきであり、
そういった観点から書かれているのがこの本になります。
子供を『ご褒美』で釣ってはいけないのか?【『学力』の経済学】要約まとめ
ハーバード大学が36,000人の
子供を対象にした実験を行っています。
2つのグループに分け
【Aグループ】
インプットに対してご褒美
『本を読んだらご褒美をあげる』
【Bグループ】
アウトプットに対してご褒美
『テストで○○点以上取ればご褒美をあげる』
その結果、
成績が上がったのは、
『インプット』に対して
ご褒美を与えられた子供たちの方でした。
成績が上がったらご褒美をあげる方が
成績が上がると思いがちですが、
結果は逆になったわけです。
100点とったら
お小遣いをあげるね。
よりも、
本を読んだら
お小遣いをあげるね。
の方が効果があるということです。
『子供をご褒美で釣ってはいけない』と言う意見に多いのが、
学習する意欲を失わせてしまうのではないか?
というものです。
このハーバード大学の実験の後に
アンケートをとった結果、
『ご褒美が子供の学習意欲を失わせてはいない』
ということが明らかになりました。
この結果から、
子供をご褒美で釣るのは
『特別悪いことではない』
ということが言えます。
『褒めて育てる教育』をしたほうがいいのか?【『学力』の経済学】要約まとめ
日本は諸外国と比べて
『自尊心』が低いとされています。
と答えた人の割合が多いのです。
自尊心を高めるために
と言われますが、
果たしてこれは正しいのでしょうか?
アメリカで、
『自尊心』の低さが、
様々な社会的問題の原因になっているのではないか?
ということで、大規模な実験が行われました。
その結果、
意外なことに、
『自尊心が高い方が多くの問題を回避できる』とは、なりませんでした。
さらに、これまでの
『自尊心が高まれば、学力が高まる』
という説が間違っていることも分かりました。
これまで、
『学力が高い子は、自尊心が高い』
という結果から言われていたものですが、
実験を行ったバウマイスター教授は、
因果関係が逆であると提唱しました。
つまり、
『自尊心が高いから学力が上がる』
のではなく、
『学力が高いから、自尊心が高まる』
と言う事だったのです。
《実験結果①》【『学力』の経済学】要約まとめ
高校1年の時に
『学力が高かった』子は、
高校3年の時には
『自尊心が高くなっていた』
それに対して、
高校1年の時に
『自尊心が高かった』子が、
高校3年のときに特別
『学力が伸びたわけではなかった』
のです。
そして次に、
バージニア連邦大学のフォーサイス教授が行った実験を紹介します。
《実験結果②》【『学力』の経済学】要約まとめ
成績が悪い子がいます。
そういった子に
などとやたら褒めることを繰り返します。
すると、
実力も伴わないのに
などという
ナルシストを作り上げてしまうことが
わかりました。
この本は『褒める』こと自体を否定しているわけではありません。
『褒め方』に気をつけろと言っているのです。
よく育児方法で言われていることですが、
『テストで100点とった』
と言う結果を褒めるのではなく、
『テスト勉強がんばったね!』
のように、
努力した『過程を褒める』ことがポイントなのです。
『ゲームをすると暴力的になる』は本当か?【『学力』の経済学】要約まとめ
この本には、
研究結果において『関連性』ではなく
しっかりと『原因』を見ること
が重要だと書かれています。
例えば、
『読書が好きな人』は『成績が良い』と言う結果があります。
すると成績を上げるために読書をしようと考えがちです。
しかし成績が良くなったのには
読書ではない部分に
『原因』があったのかもしれないのです。
『読書』をして成績が上がったのではなく、
成績の良い人が
『読者を好きになっただけ』
なのかもしれないと言うことです。
テレビやゲームをやりすぎると、
・肥満になる
・暴力的になる
という研究結果はたくさんあります。
しかしその原因を調べた研究によると、
必ずしも、
テレビやゲームが原因だとは言えないのです。
なぜならば、このような研究結果もあるからです。
《テレビに関する 研究結果》【『学力』の経済学】要約まとめ
シカゴ大学のゲンコウ教授らは、
幼少期に『セサミストリート』などの
番組を見ていた子供たちを調べました。
その結果、
『就学時に、学力が高かった』
ということを示しています。
《ゲームに関する 研究結果》【『学力』の経済学】要約まとめ
ハーバード大学のクトナー教授は、
中学生を対象にゲームに関しての研究を行いました。
その結果、
『必ずしも、有害ではない』
という結果になりました。
ゲームの中で暴力的なシーンがあっても
それを学校でそのままやるほど
子供はバカでは無いのです。
むしろ、
ロールプレイングなどの複雑なゲームは、
子供のストレス発散や、創造性や忍耐力を養っている
という結果を出しています。
ただ『テレビ』も『ゲーム』も無制限にやっていいわけではありません。
この本では、
1日1時間程度であれば問題無い
としています。
1日2時間を超えると、
子供の発達や
学習への悪影響が
飛躍的に大きくなると書かれています。
何事もやり過ぎるとよくない
ということです。
まとめ【『学力』の経済学】要約まとめ
この記事では、
『学力の経済学』について紹介してきました。
今回ご紹介したのはほんの1部で、
他にも、
・周りの同級生から受ける影響
・幼児教育の重要性
・少人数学級には効果があるのか?
・いい先生とはどんな先生なのか?
などについても書かれています。
興味のある方はぜひ手に取って
読んでみて下さい(^^♪
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